今、あいらぶIPA (ipageek)さんの投稿が物議を醸しています。
たくさんの方の意見も読ませていただきました!
皆さん真剣にビールのことを考えていて、胸が熱くなりました。
私も意見を述べたいのですが、140文字では全然言いたいことが伝えられません。。そこでブログの筆をとりました。
クラフトビールがパイント(大体568ml)で1000円って、高いと思いますか?
これは、クラフトビールを飲み慣れているかによるんじゃないかと思います。
そして、そのクラフトビールを飲む層と飲まない層の溝が決定的に深いことが、今回の問題です。
そもそも、溝が深いことは良くないことなんでしょうか?
良くない派の意見としては、
ビールをあまり飲まない人に、新たに魅力に気付いてもらいにくい→業界が弱る
というのが主ですね。
溝が深くても良い派の意見は
・嗜好品なんだし、良いものには高額を払う
・安酒でクダを巻くような飲み方とは決別できる
・その雰囲気にお金払ってる、シャレたところで味わいながら高いビール飲んでる自分でありたい
などなど。
ブルワーさんを応援したいから高額でも構わないという意見もありましたね。
いむらの個人的な見解
実は私、競技かるたの選手でして。(『ちはやふる』のやつです!)何年か前、当時の名人が
「どんなスポーツであれ、競技人口は三角形。初心者の数を底辺、強さを高さとして競技人口を分布したとき、正三角形になるのが望ましい。今、漫画や映画の影響で初心者が大量に増えているから、僕たち有段者がもっとレベルを上げて高さを出さないといけない。」
と言っていました。
これはビールにも当てはまると思います。
クラフトビール沼は今“クラフトビール高すぎ飲まない”層との溝がありすぎて、底辺が短い(初心者さんが少ない)んですよ。
“専門店に行く、大きいスーパーでも買う、めちゃくちゃ詳しいわけではないけれど好きで飲んでる”という中間層が多くて、日本の人口ピラミッドみたいになっているんじゃないでしょうか。

クラフトビール界隈が安定するためには、やはり入り口のハードルをさげる必要があると思います。
ひとつは価格。
全く未知のものを500㎖ほど飲み干すのに、1000円払えますか?
もしそれが、もしかしたらコーヒーを煮詰めたように苦いものだったら……?
人が行動を起こすか判断するのには“基準”が必要で、その対象がビールである以上、どうしても大手メーカーのビールとの比較になります。
値段にしろ、味わいにしろ、です。
たとえば、私は非喫煙者なので煙草を例に出しますが、煙草通の喫煙者の方が「これは健康にいいし、おいしいから吸ってみなよ!この銘柄で、ひと箱千円はめっちゃ安いよ!」と言ってきても、たぶん手を出しません。
おいしいの基準がわからないし、コンビニでひと箱500円くらいで売られているのを知っているので、「千円て高っ!」と思っちゃいます。。
クラフトビールも同じでしょう。
値段を無闇に下げるのは良くないですし、ブルワリーさん方にはもっと儲かってもらいたいですが、高額である事がハードルを高くしているのは確かです。
そこでもうちょっと考えたいのが、2つ目のハードルを下げること。
それは“機会”です。
お金をかけてでも未知のものに挑戦する機会って、どんなのがあるでしょうか??
一番実行力のあるのは、『親しい人に勧められる』だと思います。
ビール好きな人にビアバーに連れて行かれて沼にハマった、という方は多いのではないでしょうか??
私の周りも、“もともと大手ビールが苦手だったけど、いむらと会食する時は絶対ビール屋だからビールが好きになった”という人がたくさん居ます。
家族もクラフトビールアンチでしたが、最近は私が飲むものをひと口ずつ味見するようになりました!
他にも『フェスにいったらあったから、お祭り気分で飲んでみた』もありますよね。
以前、京セラドームであった「肉フェス」という全国の焼肉のフェスに、クラフトブルワーが数十軒出店していたのは好例です。
お肉好きさん達にもクラフトビールが浸透したら嬉しいですね。
あとは『行きつけのバーが海外のボトルビールを入れた』とか、
『馴染みの店がタップマルシェを導入した』とか、
『宅飲みにクラフトビールを持ってきた人がいた』とか。。
私の以前の勤め先は結婚式の二次会や婚活パーティーにも使われていて、そんな時でもベルギービール5〜10酒類飲み放題だったので、
そういう『飲み放題だから』『ちょっとずつの量だから』『特別な日だから』試してみる方がいる、っていうのも見逃せません。
“量が多くて高いから飲めない”なら、“ちょっとずつの飲み比べ、あなたなら安くしとくよ”が有効です。
ここをいかに工夫するか?は、作り手ではなく売り手の仕事だと思っています。私たち伝え手の担う部分でもありますね。
私が“フルコースを全部ビールで”のイベントで、参加費5000円にこだわっているのも、ひとえにビールが苦手な方に参加してほしいからです。
6〜7種類のお料理と、それぞれに合うビール。5000円で用意するのは、はっきり言ってカツカツです。
利益とか黒字とか考えてたらできません。。
逆に、苦手意識のあるものがどんどん出てくる一回の食事に5000円払えるかというとギリギリです。
本当はもっと安くしたいんですけど……これ以上は無理なんです……
ーーいずれにしても、今はこの“機会”が、コロナ禍の影響でことごとく潰されています。。
心置きなく乾杯できるようになったら、またイベントに遊びに来てくださいね!!
飲食店経営者からみたビールの提供価格

街を歩けば「何杯飲んでも生ビール(ジョッキ)¥280!!」や
「HappyHourで生ビール半額!」などをやってるお店がたくさんありますよね?
これってお客さん側から見れば
「普段ビールでどんだけボッタくってんねん!?」って思う人いっぱい居ると思うんですよね。
これ実は、よっぽど大手でもない限りビールだけではトントン、もしくは下手すれば赤字の価格設定です。
空席を出して人件費だけがかさむくらいなら、安くしてでもお客さんを入れようっていう苦肉の策なんですね。
では、実際HappyHourでジョッキの生ビールが半額になって¥280で、通常価格が¥560だったとしましょう。
先ほどお伝えした通り、¥280がほぼ原価トントンだと考えてください。その場合、通常営業でのビールの原価率は50%ということになります。
では、他のドリンクの原価率はどうでしょうか。
もっともポピュラーでどこのバーにでもあろう「ジントニック」を例にすると
使うジンによって当然値段の幅は出ますが、よく使われている「ビーフィーター」で作った場合、ザックリ原価は¥100くらいです。
つまり、通常営業でさえビールの原価率は50%、カクテルはモノによって10%~30%という事になりますね。
何が言いたいかと言うと、「ビールはお客さんに最も還元しているドリンク」であることが多いという事です!
更に、グラスの中に入ってるお酒の量を考えてみましょう。
カクテルやハイボール、チューハイなどを思い返してみて下さい。
必ず氷がギッシリ入ってますよね?
ワインは?
グラスの1/3程度しか入ってませんよね?
一方、ビールはグラスの中が全て液体です。(泡の部分もありますが)
つまり、1杯当たりに入っているドリンクの量もビールが最も多いんです!
ボトルビールや缶に入ったビールが高いという方も多いですが、よく考えてみていただきたい。
「グラス1杯」「瓶1本」という「1」という数字でイメージすると同じ量に感じると思いますが
「ml」という容量で考えた際には圧倒的に瓶の方が容量が多いという事です!
この記事の最初に書いてあったパイントに関しても同じことが言えると思います。
一般的な中ジョッキが「400ml」でパイントグラスが「568ml」
これをふまえた際に一概に高いと言えるでしょうか?
日々、お酒の量を計って売ってる側から断言します。

みんなにビールを知ってもらって楽しんでもらいたい!けど・・・
今回は、どちらかというと“飲む層と飲まない層の間に溝があるのは良くない派”としての意見をメインに書いてしまいました。
しかーし!!
溝が深くても良い派の「安酒でクダを巻くような飲み方とは決別できる」という意見は全く無視できません!!
コロナ禍で飲食店での飲酒が出来なくなって、路上などで他人に迷惑をかける飲み方や、お酒が悪と言われても仕方が無いような飲み方をされている方がやはり散見されます。
これについては、また別の記事で深掘りしたいと思います。
ぜひ次回もお付き合いくださいませ!