「クラフトビールってなんなの?」
「ビアスタイルって、何をどう調べたらいいかもわからない……」
という方へ向けて書きはじめたこのブログも、はや100記事を超えました!
ひとえに応援し、いつも読んでくださっている皆さまのお陰です。

ビアスタイルについては、こちらの記事を基に“ざっくりと”“わかりやすく”をモットーに書いてまいりました。
しかし気付けば、ほとんどのスタイルを紹介し終わっていますね!
だいぶとビールの全体像が見えてきたのではないでしょうか。
残っているのはポーターとベルリーナ・ヴァイセだけ!!
というわけで今回は、ベルリーナ・ヴァイセを含む酸っぱいビール群をご紹介します!!
「サワーエール」と聞けば、巷で大流行のスタイルなので「聞いたことがある」「飲んだことがある」という方も多いはず。
しかしサワーエールという名前ばかりが先行していて、詳しいことはあまり知られていませんよね。
今回はそんな酸っぱいビール達を紐解いていきます!!
まずはサワーエールの分類からみていきましょう!
酸っぱいビールにはどんなのがある?
ざっくりとですが、表にまとめるとこんな感じです!
発祥国 | 乳酸および酢酸由来 | 自然発酵由来 |
---|---|---|
ベルギー | フランダースレッドエール、フランダースブラウンエール | ランビック |
ドイツ | ベルリーナ・ヴァイセ | ゴーゼ |
アメリカ | サワーエール |
ベルギー発祥のスタイルは、既に記事にしてありますので、そちらをご覧ください!
今回はドイツとアメリカの酸っぱいビールを紹介します!!
ベルリーナ・ヴァイセ
ドイツのベルリンで作られている、元祖乳酸発酵ビールです!
飲めば「すっっっっっぱ!!!!!」と叫ばずにはいられません!
アルコール度数3%程度の低アルコールで、小麦主体の濁ったビールです。
別名「北のシャンパン」。
ホップの苦味やモルトの甘味はほとんど感じられず、ただただヨーグルトのように酸っぱいです。
フルーツのシロップを添加したり、ハーブエッセンスを加えたりして、ストローで飲むのが一般的です。
最初からフルーツを加えて発酵させたものもあります!

これはベルリーナ・ヴァイセにイチゴシロップを加えたものです!ほんとカクテルみたいでしたねぇ。
ただ、ベルギーのフルーツエールに比べると遥かに酸味が強いので、酸っぱいビールが好きな方向けかなと感じます。

こちらは現地でメジャーな飲み方、クルマバソウのエッセンスで割った飲み方です!
日本ではクルマバソウは食品とはみなされておらず輸入もされていないらしいので、これを飲めたのは貴重な体験でした。。
もう7年ほど前のことなので記憶も曖昧ですが、「酸っぱいビールにかき氷のシロップを入れたみたいだな」と思ったのを覚えています。
代表銘柄:キンドル・ヴァイセ

ベルリーナ・ヴァイセの銘柄としては、キンドルしか聞いたことがありません。。
上の写真もキンドル・ヴァイセです!
アメリカではヴェルリーナ・ヴァイセを作るところも出てきているそうです。本来はベルリンで造られたものしか名乗らないんですけどね。
せっかくなら、ベルリンへ赴いて、現地の空気を感じながら飲んでみたいものです!
早く海外旅行ができるようになりたいですね。
ゴーゼ
ドイツのライプツィヒで飲まれている、爽やかな酸味ビールです!
ゴスラーという町で作られたのがゴーゼという名前の由来です。
上の表では、ブレタノマイセス系(自然発酵由来)として分類しています。
この酵母はランビックの自然発酵に使われる野生酵母で、ひと言で言うと“馬小屋のよう”!“馬”や“革”、“土”の匂いがします。
これが美味しそうって、変態的ですよね。笑
ただ、ランビックと違って長期間の熟成はしないので、この馬小屋臭もランビックよりは控えめです。
伝統的なゴーゼは小麦主体で、副原料として塩が使われています。
オート麦を使ったり、コリアンダー(パクチー)を加えていることも多いです!
酵母が容器の中で活動しているので、グラスに注ぐと酵母の濁りがあり、炭酸も強めで、レモンのような柑橘の香りがします!
乳酸発酵の影響も受けていますが、酸っぱすぎることはなく、爽やかに飲み心地よく仕上がっています。
フルーツを加えることもあります。
伝統的なゴーゼの影響を受けて、アメリカンクラフトとして今ゴーゼ人気の波がきています。
アメリカ発のゴーゼはライプツィヒ・ゴーゼと比べると酸味が控えめで、さらに飲みやすく仕上がっていますね。
塩気があって爽やかに酸っぱく、炭酸も強め。ソルティライチなどが好きな方におすすめのビールですね。暑い日にごくごくと飲みたいスタイルです!
代表銘柄:ウェストブルック・ゴーゼ

Westbrook Goseは、アメリカン・サワーエールブームの火付け役とも言われています。
サワー・ソルティ・デリシャスと書かれていますが、まさしくその通り!
海塩とコリアンダーがドリンカビリテイを高め、ハマるとクセになるビールです。ぜひ一度飲んでみてください!
アメリカン・サワーエール
ドイツやベルギーの酸っぱいビール達と違い、このサワーエールは“確立されたひとつのビアスタイル”ではないんです!!
IPAやスタウトなどのビールを、乳酸菌やブレタノマイセス系の酵母で発酵させ、酸味を出したのがサワーエールです。
サワーIPAやサワースタウトなど、「見たことある!」「この前飲んだ!」という方も多いと思います。
本来の味わいと酸味が複雑に絡みあい、奥行きを増したビールです!
代表銘柄:Sierra Nevada Wild Little Thing

シエラネバダのサワーエール!
野生酵母で発酵させたワイルドリトルシングです。
特徴はなんといっても、イチゴ・グァバ・ハイビスカスが使われていること!!
これにより、乳酸発酵由来の酸味と、フルーティな香りが絶妙に調和したビールに仕上がっています。
色合いも美しい紅色で、グラスに注ぐとうっとりと見つめてしまいます。夏の海辺で飲みたいビールNo.1です!
余談ですが、サワーエールはNEIPAブームの次にくる流行ビールとされています。
実際、ブルーパブとかにいくと繋がっている率が非常に高いですね。
しかし酸っぱいビールは飲む人を選ぶので、NEIPAほどの波にはならないと思われます。
クラフトビール通がブルワリーや専門家に質問できるという機会があると、必ず「次に流行するスタイルはなんだと思いますか?」という質問が出ます。
私は個人的に、この質問はナンセンスだと思います。
流行に関係なくこだわりのビールを作るからクラフトブルワーなんです。
自分がおいしいと思うものを選んで飲むのが、飲み手のあるべき姿でしょう。
流行に踊らされず、本当にうまいビールを求めていきたいものです!
ビールで「悪」とされていた部分が個性に!
“ビールは苦くて甘い飲みもの”が基本です。
だから、酸味が主体のビールは、はじめて飲む方からすると「ビールとは思えない」と言われます。
当然です。
だって、酸っぱくなったビールというのは、ピルスナーなどにおいては酸化している・傷んでいるという証拠ですからね。
ただ、酸味がうまくビールのキャラクターになったサワーエールにハマってしまうと、もう戻れません!笑
クセになるんですよね〜〜。
またモルトとホップで甘いか苦いか?だけを論じていたところに、“イーストを変えることで酸味を出したぜ”というのは革命的です。
ビールの幅がぐっっと広がり、合わせやすいお料理も飛躍的に増えましたからね。
サワーエールはまだまだ研究の余地がある分野です。
今のブームで、副原料や発酵技術が工夫され、さらにおいしい酸っぱビールが続々と生み出されることでしょう!
今後も要注目のスタイルです!!