ビールのスタイル

みんながビールだと思ってるのは99%この「ピルスナー」!仲間の「へレス」も紹介!

酷暑が続きますね!

キンキンに冷えたビールを、ごくごくぷは〜っとしたい衝動に駆られます。

さてさて、今までこのブログに何度もその名が登場しておきながら、詳しく解説されてこなかったスタイルがあります。

それは、『ピルスナー』です!!

今回は、満を辞してピルスナーの、またそれに付随する諸スタイルのご紹介をしたいと思います!

これを読めば、スーパーやコンビニで買える大手メーカーのビールがさらにおいしく感じられるはず!!

早速、ピルスナーが生まれた背景から見ていきましょう!

1842年11月、その時歴史が動いた

今でこそ、世界中で飲まれているビールの約7割はピルスナーですが、実はピルスナーは300年ほど前にチェコで誕生したばかりで、それ以前の2000年余り、人類が飲み続けてきたのは、エールビールだったんです!!

エールとラガーについてはコチラ


それでは、300年前に何があったのか。きっかけはヨーゼフ・グロールというダメ男でした。

彼は腕のいい雇われ醸造家だったんですが、とにかく酒癖が悪くて迷惑をかけまくるので、長く同じブルワリーに留まることはなかったんですね。

彼がピルゼンの市民醸造所に招聘されてビールを仕込んだ際のこと。

これまでのビール同様、暗い色合いで濁ったビールができるはずでした。

しかし……
⚫︎新しい酵母を使った
(活動が終わったら沈んでいく、下面発酵酵母)
 
⚫︎ピルゼンは非常に上質な軟水だった
(硬水はメイラード反応起きやすい→色が濃くなる)
 
⚫︎発明されたばかりの焙燥機を使った
(高温にしなくても良い→麦が焦げなくなった)
 
⚫︎低温・長期熟成という新しい製法を使った
(クリアかつシャープに仕上がる)

という数々の偶然が重なって、黄金色に輝くクリアなビール『ピルスナー』が生まれたのです!!

当時のピルゼンの人々が驚き感動したのは想像に難くありません。

ただグロルはあまりにもダメな奴だったようで、ピルゼン市は「ラガービールが生まれたのは、この街の軟水のおかげであって、グロルの功績ではない!」と主張、その後グロルは追放されてるんですよね。。

どんなに腕がよくても、酔っ払って人に迷惑をかけてはいけないという教訓です。

ピルスナーは瞬く間に大人気となり、世界各国で作られ、今日に至っています!

Eはいるんか、いらんのか

以前、開拓使麦酒の記事で

「PILSNER」なら本場チェコのピルスナービール、「PILSENER」とE入りならピルゼン以外で作られたピルスナービールを指します。

とご紹介しました!

開拓使麦酒の記事はこちら


この背景を詳しく見ていきましょう!

ヨーゼフ・グロルが使った新しい酵母というのは、ドイツのミュンヘンから持ち込んだものです。

当時、常温で発酵させるエールビールは雑菌繁殖の問題が深刻だったため、菌の繁殖しない低温で長期間熟成させる“ラガー”という製法が注目されていました。

ミュンヘンとしては、グロルを通してラガービールを“教えてあげた”という認識でしたから、ミュンヘンでもピルスナーを“本家”として作りはじめました。

もちろんチェコのピルゼンは猛反発。

1898年と1912年に、“ピルスナーをピルゼン以外で作るのは違法だ”と裁判を起こしています。

結果「ピルスナーは一般名詞化しているので強制できないが、ピルゼン生まれのものと区別できるようにすべし」と判決が下されました。

だから、ピルゼンの元祖ピルスナーは「PILSNER」

ピルゼン以外のものは「PILSENER」もしくは「PILS」と呼ばれているんです!

Eのひと文字にこんな歴史があるなんて、これだけで一杯のあてになりますね。

ピルスナーの特徴

大多数の人が、「ビール」と聞いて思い浮かべるもの!!

それがピルスナーの特徴です!

黄金に輝く澄んだ液体に、白い泡。強めの炭酸、爽やかな喉越し。

この時期、炎天下の中にいるとどうしようもなく欲してしまう、あの奇跡の液体です!!

もうお分かりの通り、キリン『一番搾り』も、サッポロ『黒ラベル』もピルスナーです!

おすすめのグラス

ピルスナーグラスという、脚つきで細長いグラスがあります。

ピルスナーグラスを公式グラスに設定している銘柄は多いです!


しかし私いむらの個人的おすすめは、ベルギービールウィークエンドでもらえるグラスを使うこと!!

このグラスは、口径1に対して高さが1.8〜2.2円筒形であり且つ底が丸くて対流する適度に炭酸を抜いた方が良いピルスナーにとっては超絶理想のグラスと言えます!!

私が自宅でピルスナーを飲むときは、ほぼこのグラスを使っています!

ピルスナーの分類と代表銘柄

ボヘミアン・ピルスナー

ピルスナー発祥の地、チェコのピルスナーです。

本場of本場!!

ジャーマン・ピルスナーと比べると、麦芽のコクが強いのが特徴です!

色味も濃いですね。チェコは良質な麦の産地だということが影響しているようです!

代表銘柄:ピルスナー・ウルケル

ピルスナー・ウルケルなくして、ピルスナーは語れないでしょう!!!

ヨーゼフ・グロルが世界で初めてピルスナーを醸した地、ピルゼンの市民醸造所が、今のピルスナー・ウルケルです。

ピルスナー・ウルケルは当時のレシピを忠実に守っているそうですよ。これぞ元祖ですね!!

ピルスナー・ウルケルには、現地で修行しウルケルの注ぎ方などを極めた“タップスター”と呼ばれる人達がいます

そのうちのお一人と最後に話したとき、「日本には自分含めて4人しかいない」とおっしゃっていました!(2、3年前なので、今はもう少し増えているかも……?)

皆さんもウルケルタップスターのいるお店を探して、プロの注ぐピルスナー・ウルケルを飲んでみてはいかがでしょうか?

ジャーマン・ピルスナー

ボヘミアンピルスナーと比べると、色合いは淡くホップの苦味が強いのが特徴です!

特に北ドイツのものは航海を見越していたので、防腐剤としてのホップを多めに使っていますね。

南へ行くほどモルティになってくるのもおもしろいです!

代表銘柄:ヴァルシュタイナー

「ラガーの女王」の異名をもつこのヴァルシュタイナー、特筆すべきは“水の硬度の低さ”です!

世界的な名水と評されているカイザー・クベッレ泉の天然水を使っていて、その天然水が“超軟水”なため、さらさらと水のように飲めるビールに仕上がっています。

300年近い老舗でありながら、現在でもシェアトップクラスを誇っているのが納得の銘ビールです!

鬼滅の刃のキャラをビールで例えてみたの記事で、私の最推しキャラである水柱・冨岡義勇さんのイメージビールとして登場したのが、このヴァルシュタイナーです!!

インターナショナル・ピルスナー

チェコとドイツ以外で作られたピルスナーです!!

オランダの『ハイネケン』やデンマークの『カールスバーグ』などですね。『黒ラベル』も『一番搾り』もここです!

ただし、アサヒ『スーパードライ』は麦芽率が低く、麦汁濃度も低いため、コンペなどではピルスナーではなく“ライトラガー”として出品されているようです!

このあたりの境い目は曖昧ですね。『バドワイザー』もアメリカンライトラガーと言われています。

またサッポロの『ヱビスビール』は、麦汁濃度が高くホップの苦味も効いているため、ピルスナーではなく“ドルトムント”という別のスタイルに分類されます!

ピルスナーと間違われやすいスタイル“ヘレス”

ミュンヘンでは、もともと濃色のラガービールを作っていましたが、ピルスナーの爆発的な人気を受けて「うちでも淡色のラガーを作ろう!」となり、誕生したのが“ミュンヒナー・ヘレス”です!

「ヘル」とか「ヘレス」には、「淡い」という意味があります。

パンを思わせるほど麦の香ばしさを感じるビールです。ジャーマンピルスナーとの違いはここです!

ピルスナーはあくまでもホッピーであるのに対し、ヘレスはモルトが主役です。

本家オクトーバーフェストに出店される6大醸造所の作る、淡い色合いのラガーはピルスナーではなくヘレスということです!

代表銘柄:レーベンブロイ

私のビール観において、基準となるビールです。

モルトとホップ、飲みやすさとコク、甘味と苦味……全てにおいてバランスが取れています!

実は、まだビールの伝え手として駆け出しの頃、レーベンブロイをメインタップとするドイツビール専門店にいたんです!

注ぐ技術もグラスとの相性もケグの管理の仕方も、全てレーベンブロイに教えてもらいました。

だから、私にとっては魂の伴侶のような存在です。

アサヒがABインベブと提携を解消したため、日本でレーベンブロイの樽生を飲める機会はがくっと減ってしまいました。。

今年はもう厳しいかもしれませんが、来年こそ日本でもオクトーバーフェストが開催されることを期待しましょう!!!

棚に並んでる多くのビールが「ピルスナー」!

ピルスナーについて、その歴史から派生スタイルまで見ていきました。

どうですか?ちょっとコンビニに行って、どれだけピルスナーが並んでいるか確認したくなりませんでしたか??笑

猛暑はまだまだ続きそうです。

熱中症に気をつけながら、仕事終わりの一杯を楽しみに頑張りましょう!!

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