前回の記事で、グラスに注いで飲むことの大事さがわかってもらえたと思います。
そうすると次は「どんなグラスを用意したらいいのか?」という疑問が出てきますよね。
今回は、重要視する項目から“グラスの選び方”を見ていこうと思います!
最高の理想のビールを飲むグラス
ほとんどのブルワリー・ビールメーカーは、指定の専用グラスを持っています。

大手メーカーのアサヒやキリンなどはあらゆる飲食店に対応する為、自社でもかなりの数の専用グラスがあります。
その形によって、味わいは変わってきます。
一方、小規模なブルワリーなどは“そのビールを飲むのに最も適した形の”グラスを指定しています。

つまり、ほとんどのビールは専用のロゴ入りグラスを使えば、一番おいしく楽しめるというわけです!
……とはいうものの、飲みたいビールのグラスを全て入手するのは、不可能に近いです。。
酒屋さんにふらっと立ち寄って、「お!このビールはラベルがかわいいな、いっちょ買ってみるか」となった場合、ほとんどグラスは一緒に売られていません。
たとえ売られていても、毎回グラスも購入していればお財布にもダメージが大きいですが、何より保管場所に困ります。。
また、一番よく飲む大手ピルスナーは、結局どんなグラスで飲んだら良いのかわかりません。
そこで、今からお伝えする「口の開き具合」「取っ手・脚・分厚さ」「素材」などの項目を参考に、良いなと思うグラスを少しずつ増やしてみてください!
グラスの要素とその影響
口の開き具合

口の大きく開いたグラスは、外に香りが放たれます。
アメリカンIPAやNEIPA、またフレッシュフルーツを使用したものなど、特徴的な強い香りがあるものは口の開いたグラスがおすすめです。

一方、口のすぼまったグラスは香りが内に閉じこもります。
独特なクセの強いビールで、最後まで香りを楽しみたい場合はすぼまったグラスがおすすめです。

ピルスナーは、バランス良く風味を感じる為に円筒形の縦長のグラスというのが通説です。
ヴァイツェン以外のドイツビールも、ジョッキ型が多いですね。

口が一度くびれてから開いている、チューリップ型と言われるグラスもあります。
小麦を使ったものや、デュベルのような泡立ちの豊かなストロングエールには、ふわもこの泡が作れるチューリップ型がおすすめです。
取っ手・脚・分厚さ

なぜ取っ手があるかと言うと、手の体温を伝えないようにする為ですね。
もちろん飲みやすさや見た目の美しさなどもありますが、一番は「36℃前後の物体が、適温10℃以下のものに直接触らないで!」ということです。
脚も、テーブルの熱を直接伝えないという効果があります。
もちろんゴブレットなどには、もっと歴史的な意味があるのですが。

また、分厚いグラスも手の体温を伝えにくいです。
総合して言うと、大手のピルスナーなど適温の低いビールは「取っ手も脚もない薄いグラスでは飲まない方が良い」ということですね。
また分厚さに関して、口の開き具合とも関係するのですが
「液体がどのくらいの勢いで口内に流れ込み、舌のどこに当たるのか?」
で印象は大きく変わります。
ここは感じ方の個人差や好みで大きく変わるので、いろいろと試してみてください。。
素材
ガラス

グラスに最も好まれている素材はガラスでしょう。
ビールは五感で楽しむものですから、透明感や美しい色合いを鑑賞できるという点でガラスは非常に優秀です。
陶器

ガラス以外の素材で言うと、ドイツのビールには陶器マグの専用グラスもたくさんあります。
泡の比率やビールの色合いが見られないのは残念ですが、ロゴプリントがかわいいものが多いです。
蝿が入るのを防ぐための蓋がついた「シュタイン」という陶器グラスもあります。
専用グラスに陶器があるものはメルツェンやボックなど重めで強めのビールが多いので、陶器で飲むとさらに味わいが濃厚に感じられます。
木材
竹などの木材を使ったグラスもあります。
内側がコーティングされているものもありますが、そうでないものはグラスを傾ける度にビールが表面のざらざらに反応して泡がたちます。
泡は蓋の役割をするのでゆっくり飲むときにおすすめですが、炭酸は弱めになります。
金属
錫、銅などの金属のものもあります。
冷たいまま飲めると人気ですが、熱伝導が良いので温かいものの近くに置かないように注意が必要です。
金属や木材でできているものは、どうしてもその素材の風味を感じてしまいます。
それすらも愛でながら飲めるなら良いと思います。しかし、初めてのビールの味見をするときは、やはりガラス製が良いでしょう。
究極のおすすめグラス
本当は専用グラスを用意してほしい、無理なら大事な項目に注意していくつかグラスを用意してほしいとお伝えしてきました。
それでは、もし1種類しかグラスを用意できなかったら?または、これから同じグラスを使ってたくさんのビールの違いを感じていく場合、どんなグラスがふさわしいのか??
日本ビール検定の教科書には、こう書かれています。
「ビールがおいしく飲めるグラスの条件は、注ぎやすく、泡持ちが良く、飲みやすく、見た目が美しいことです。」「一般的なピルスナービールの場合、美しくゆるやかな曲線を持つ縦長の円筒形で、底に丸みのあるものが適しています。」「この形状のグラスは、ビールを注ぐときに円を描くように下から上へとなめらかにビールが対流して、きめ細やかな泡をつくります。」「ビールグラスの理想の形は、直径1に対して高さ1.8〜2.2くらいの比率の、ややスマートなもの。」(日本ビール検定公式テキスト、2018年版および2020年版より引用)

この理想の形のグラスは、どこで手に入るのでしょうか?
実は、毎年ベルギービールウィークエンドでもらえるんです!!!
これでピルスナーを飲むと、びっくりするくらいおいしく感じますよ!
ベルギービールウィークエンドのグラスにビールを注いだ動画です!
めちゃめちゃおいしそうでしょ!?
残念ながら2020年は新型コロナウィルス感染拡大防止の為に各地で中止になってしまいましたが、また機会があれば是非参加してみてください!