今日ご紹介するのは、私の大っ好きなランビックでございます!!!
私は全てのビールを愛していますが、「特に好きなスタイルはなんですか?」と尋ねられたら

と答えるようにしています。
そうすると、だいたいの人から「変態ですね」と言われるので、褒め言葉として受け取っています!笑
なぜランビック好きは変態(私は違いますが)と言われてしまうのか?詳しくみていきましょう!
他のビールとは違うワイルドな酵母
ランビックの特徴をひと言で言うと「ワイルド」「野生的」ってことです!
ビールは製造過程で、作りたいビールに合わせてエール酵母かラガー酵母を人工的に添加します。
発酵性の高いものや低いものもあるので、計算して添加するわけですね。
大手の作るピルスナーだと、だいたい100ℓの麦汁に対して0.5ℓの酵母が添加されます。
けれどもこのランビックは、酵母を添加しないんですよ!!
醸造所に自然に住み着いている酵母が飛び込んで、自然に発酵を始めるのを待つ、という、非常に原始的な製法で作られています!
この酵母を「野生酵母」、野生酵母で作ることを「自然発酵」と言います。
日本ではあり得ない醸造所

普通、発酵食品の工場って、パンでも味噌でも、雑菌が入ってしまうと思ったように発酵しません。
外から菌類を持ち込むことは禁止されていて、徹底的に掃除されていますよね。
酒蔵やブルワリーも同じで、朝早くから掃除するというのが当たり前ですし、工場見学前の数日間は納豆などの発酵食品は食べないでください!というところもあるくらいです。
が、ランビックは違うんです!
醸造所に住み着いている酵母くんが重要なので、ブルワリーは掃除することが許されず、天井は埃だらけだそうですよ。
掃除してはダメなんて、日本ではあり得ないですね。
ランビックの種類
野生酵母は強力で、しかも人間が量やタイミングを調整したりできません。
そうすると、かなり酸っぱいビールができあがります。
そのままでは飲めないので、主に下の2つのやり方で二次発酵(味を整えるための貯酒)させます。
ブレンドする

3年以上寝かせた古いランビックと、主発酵(糖をアルコールと二酸化炭素に分解する最初の発酵)を終えたばかりの新しいランビックをブレンドして、オーク樽で一年ほど寝かせます。
こうしてできたランビックを「グーズ・ランビック」と言います。
これが酸っぱいんですがクセになる味なんですよね!
私の大好きなビールです。
写真はブーン・グーズです!
グーズランビックを代表する銘柄ですね。
他にも、カンティヨンやティルカンなどのグーズは日本でも飲むことができます!
甘いものを漬け込む

二次発酵で果物などを漬け込んで甘酸っぱいビールにする方法です!
代表的なものはフランボワーズ(木苺)、クリーク(さくらんぼ)、ぺシェ(桃)、カシスなどでしょうか。
苺や葡萄、杏などもあります。
砂糖を漬け込んだファロも有名ですね。
こうしてできたランビックを「フルーツ・ランビック」と言います。
ランビックの特徴
見た目
麦芽にしていない生の小麦を30%以上使っているので濁りがあります。
グーズ・ランビックは明るい黄金色から銅色まで。
麦芽の色が反映されます。
フルーツ・ランビックは、漬け込んだ果物の色に大きく左右されます。
ベリー系の赤色のイメージが強いですね。
風味
なんと言ってもとにかく酸っぱいです!
ブレンドしようがフルーツを漬けようが、本物のランビックは耳の下がぎゅーっとなるような強烈な酸味があります。
特にグーズランビックは糖を残さずに完全に発酵させているので、かなりドライでシャープな飲み口です。
フルーツランビックの風味は、漬け込んだものに左右されます。
意図的に3年以上寝かせた古いホップを使っているので、ちょっと埃っぽいような、かび臭いような香りがすることもあります。
ランビック呼称の保護
ランビックはベルギーのブリュッセルで伝統的に作られているスタイルで、ブリュッセルとその近郊以外で製造されたものに関してはランビックを名乗ることが許されず「ランビック・スタイル」と表記されます。
シャンパーニュ地方で作られたスパークリングワインしかシャンパンを名乗れないようなものですね。
ランビック好きの間には固い絆が生まれる!

「あんまり褒め言葉なくない?大丈夫??」と思われた方!
正解です!!
これは決して初心者さんにおすすめするようなビールではありません。
ビール好き勢でも「ランビックはちょっと……」という方が多いです。
逆に「なにその変態的なビール!飲んでみたい!」と思った方!
マブダチになれます!!
「普段とは違うビールを飲んでみたいなー」と思った方は是非チャレンジしてみてくださいね!
でも、もしランビックが口に合わなくても、ビールの全てが合わないとは思わないでほしいですね。
次の記事では「フルーツランビック」と「フルーツビール」の違いに迫ってみたいと思います!