ここのところ、IPAやアルトなど、苦味の強いビールを続けてご紹介してきました。
今回は、ビールは甘くて苦い飲み物なんだってことを「IBU」という言葉をキーワードに紐解いてみたいと思います!!
知れば知るほど奥深いビールの味わいの世界に、一緒にダイブしましょう!!!
ビールは「甘くて苦い」
ビールを作っているのは麦とホップです。
ザックり説明すると、基本的に麦は甘味の、ホップは苦味の素になっています。
ただ、ビールはそんなに単純じゃないんです!!
まず、甘味と苦味について掘り下げてみましょう!
ビールにおける甘味
ビールの甘味
・麦由来のパンのような甘味
・エール酵母によるフルーティな香り
・果物っぽさのあるホップ由来のジューシーな香り
・副原料(果物や砂糖)による甘味
こうやって並べてみると、純粋に舌で感じる甘味よりも、鼻から抜けるフルーティさで甘く感じることが多いことがわかりますね!
ビールにおける苦味
ビールの苦味
・ホップ由来の苦味
・麦芽の焦げ感
苦味のもとになる要素のほとんどは、ホップが占めているのがわかります!
ホップが「ビールの魂」と呼ばれる由縁ですね。
苦味の単位IBU
IBUとはInternational Bitterness Unitsの略です。和名は国際苦味単位、つまりビールの苦味を測る尺度ということです!
どうやって測るかというと...
(ホップの質量×アルファ酸度×煮沸時間)を(麦汁の体積×1.34)で割った数値がIBUとなります!
ざっくり言うと、麦汁中にどれだけ苦味成分が溶け出しているかを計算する式です!
アルファ酸度とは、ホップの品種によって違う苦味成分(イソアルファ酸)の溶け出しやすさを表しています。
アルファ酸度はそれぞれ、ホップの品種によって値が決まっています!
つまり、どれだけの麦汁で、どれくらい苦いホップを、どれだけの量で、どれくらいの時間煮込んだかでIBUは求められることになりますね。
IBUの限界
今現在、IBU以外にビールの味わいを客観的に表す尺度がありません。
だからIBUの高い、低いだけが取り沙汰されることも多々あります。。
しかし、IBUはそんなに絶対視すべき指標ではないんです!!
なぜかというと……
①甘味を考慮していない
たとえIBUが高くても、麦汁が濃くて麦の甘味をしっかり感じられれば、そんなに苦く感じません。
逆に麦感の薄いアメリカンライトラガーなどでは、IBUが5程度でも苦く感じます。(日本の大手メーカーのピルスナーは20〜25くらいです)
インペリアルスタウトやバーレイワインなどは、IBUが100を超えるものもざらにありますが、どちらかというと甘く感じます。
②煮沸しなければIBUゼロ
計算式では、ホップの質量に煮沸時間がかけられていました。
ホップは煮沸工程で投入しますが、煮沸時間が長ければ長いほど、苦味成分がよく溶け出すからです。
しかし煮沸しすぎると、ホップの香りが揮発して飛んでしまい、苦いだけのビールになってしまいます。
そこで最近は、レイトホップやドライホップなどの製法が流行しています。
これは、煮沸の最後の方、もしくは火を止めてからホップを入れて、香りが飛ばないようにする製法です!
計算式上、火を止めてからホップを入れても、IBUはゼロです。
しかし、発酵中に全く苦味成分が溶けださないわけではありません!
こちらはその盲点をついた、アングロジャパニーズブリューイングの「IBUない」です!
もちろん、全く苦くないわけではありませんでした。
しかし、苦いというほどでもなくて、すんっ……と消える不思議なあと味でした!
見かけたらぜひ試してみてください!!
ビールとは甘味と苦味が織りなすハーモニー!
ビールが広く親しまれるわけは、「甘味と苦味のバランスが良いから」というのがわかっていただけたでしょうか?
甘すぎても、苦すぎてもダメなんですね!
どちらかに偏りすぎていないからこそ、延々と飲み続けられるわけです!!
グラスの中に潜む複雑な味わいや香りを見つけて、楽しんでくださいね!