皆さんどうもこんにちは!
冷え込みが厳しくなり、ホプホプしたビールより麦麦したものが欲しくなってしまいますね。。
先日、『アメリカン クラフトビア エクスペリエンス 2021』が主催するオンラインセミナーを受講してみました!!
無料だから気軽に受講できるうえ、テイスティング用ビール、モルトのサンプルやコースターまで送ってくれました!
こんな素晴らしいセミナーがあるなんて知らなかった。。
今回はモルトに焦点を当てた回でしたが、きっと過去のホップ回なら、ホップのサンプルを送ってくれたんでしょうね。
もっと早く存在を知っていたら……と悔やんでいます。
セミナーは過去のものでもアーカイブで視聴できるようですので、少しずつ聴いてみます!
今回は、受講したモルトセミナーで学んだことをまとめながら、ビールにおけるモルトの意義を深掘りしてみます!!
モルトとは?
「モルトとは何か?」
「麦にはどんな種類があるのか?」
については、遥か昔の記事でご紹介しました!
ビールの身体を作るのは「麦」!では、「麦」と「麦芽」の違いは?
「麦」と「麦芽」の違いってナニ? 麦芽にせずに使用しているビールもある? ラベルの裏面を見ると、「大麦麦芽、大麦、小麦」などと精麦(芽を出させること)をしていない麦が使われているものが見られます。 そ ...
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つまり、芽が出ていたら麦芽なんですね。
今回の記事では、
〇カラーで見るモルトの種類
〇モルトで味わいはどう変わるのか?
を中心にご紹介します!
カラーで見るモルトの種類
まずはこちらをご覧ください!!
これが、送っていただいたモルトのサンプルです!
全然色味が違いますよね。
どうしてこんなに色が違うのか??
麦芽の作り方から簡単にご紹介します!
まず収穫した麦に水を含ませると、芽が出て酵素が働きはじめます。
そのままだとどんどん成長して栄養を使い尽くしてしまうので、高温に晒して酵素の働きを止める必要があります(焙燥と呼びます)。
焙燥モルト
焙燥の際に水分を抜いて乾燥させると、淡い色合いのモルトができます。
これがピルスナーモルトやペールエールモルトと呼ばれるものです!
ほとんどのビールのベースになるので、ベースモルト(ひとつのビールに5割以上使われるモルト)と呼ばれます。
ウィンナーモルト、ミュンヘンモルトなど、あまりベースに使われない焙燥モルトもあり、赤みがかったビールができる特徴があります。
※ウィンナースタイルラガーなど、ウィンナーモルトをベースするスタイルもあります!
ピルスナーモルトの断面は真っ白でまるでポン菓子のようですね!
焙煎モルト
水分を抜かないで火にかけると、残った糖分がキャラメル化して、甘味があり色合いの濃いモルトができます。
こうやってできるものが、キャラメルモルトやクリスタルモルトと呼ばれるものです。
キャラメルモルトの断面は少し飴状になっているのがわかりますか?
焙焦モルト
さらに、焙燥したあとに火にかけたものは、とても苦くなり、色も真っ黒に近くなります。
コーヒーの焙煎とほぼ同じです!チョコレートモルト、ブラックモルトと呼ばれるものです。
チョコレートモルトの断面はぼろぼろ崩れて、コーヒー豆そのものように見えますね!
つまり...
ということです!
焙煎や焙焦して作られるモルトは、ビールの液体や泡へ色をつけてくれます!
そういうモルトをほんの少しでも使えば色がつきますし、ロースト麦芽は5%でも使おうものならものすごい強いパンチのあるビールができあがります。
色味のある麦芽は、お料理でいう調味料のような存在です!
ちなみに、焙燥・焙煎・焙焦については書籍によって表記や分類が違います!!
今回はわかりやすくこの分類を採用しましたが、びあけんを受験する方は焙焦という表現は出てこないので注意してください!!!
それでは次は、それぞれがビールの味わいにどんな影響を与えるのか?を見ていきましょう!
モルトの違いで味わいはどう変わる?
送っていただいた麦芽を試食してみました!!
私の感想をすごく大雑把に言うと、
麦芽の感想
ピルスナーモルト:麦、穀物
キャラメルモルト:みたらし
ローストモルト:コーヒー
いう印象でした。
もっと細かくご紹介すると……
下に行くほどモルトの色が濃くなった時の味の印象で
色が淡い
↓
麦そのままの味、穀物、パン
↓
パンの耳、クッキー、パウンドケーキ
↓
蜂蜜、ナッツ、ドライフルーツ
↓
キャンディ、キャラメル
↓
ビターチョコ、ローストコーヒー
↓
色が濃い
ということになります!!
もちろん絶対の基準ではないし、感じ方は個人差があります。
しかしビールの外観から味わいを推察する良い物差しになるんじゃないかと思います!
大麦以外の麦芽では味わいはどう変わる?
まず大前提として、モルト(特にタンパク質豊富な麦芽)をたくさん使ったビールは、ボディがあり、泡もちがよく、泡や液の粘度が高く(グラスによく残る)、ハイアルコールになります。
ホップと違って、パッと見で結構味わいに差があることがあるのがわかるのが、モルトの面白いところです!
麦芽の種類に関しては、過去の記事でもご紹介しましたので、今回は味わいに関してだけ追記します。
小麦
タンパク質豊富なので、コクがあり泡もちが良い。
パンのような甘味が出る。
古い小麦には軽い酸味が出る(ランビックに使われる)。
ライ麦
スパイシーな味わいが出る。
オーツ麦
タンパク質豊富で、口当たりなめらか。
特に窒素充填のビールと合わせるとシルクのようなマウスフィールを与えるので、ヘイジーIPAなどでは非常によく使われている。
モルトにフォーカスしてビールを楽しんでみよう!
IPAの流行でホップの種類には注目が集まり、ブルワリーもホップの種類を明記するようになってきました。
しかし、モルトに関しては全然注目が集まっていないのが現状です。。。
やはりホップのセミナーと比べると、参加人数も少ないようですね。。
ただモルトはビールの「身体」ですから!魂があっても、実体がないと幽霊になってしまいます!!
ホップなら種類とタイミングが研究され尽くし、いろいろ発売されていますが、モルトは
・最初の麦汁作りの際の、モルトの比率をどうするか?
・ベースモルトをどの程度糖化するか?(甘味の残り具合、アルコール度数に影響)くらいしか差がありません。
発酵前後にホップを足す(ディップホップやドライホップ)ことはあっても、モルトを足すなんて方法は、今のところ聞いたことがありません。
瓶内二次発酵でも、足されるのはキャンディシュガーですしね。
今後、さらにいろいろな麦芽の種類や製法が編み出され、ビールのレシピが幅広くなる余白があるということです!
10年後、20年後にどんなビールが飲まれているのか……今から楽しみです!