皆さーん!!ビール飲んでますかー??
そろそろ重くてハイアルコールなビールから、軽くてさっぱりしたものが飲みたくなってくる季節ですね。
春は新商品ラッシュなので、店頭の陳列を眺めるだけでもウキウキします!
さてさて、このブログではビールの魅力を多角的にご紹介してきました。
麦芽やホップが変わると、ビールの味わいはどう変わるのか?なんてのもありましたね。
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今回は、ビールの成分の9割を占める“水”に注目します!!
水が変わると、味わいはどう変わるのか?早速見ていきましょう!
水の違いとは?

「水の違いで味が変わるって言うけど、水に違いなんてあるの?」
という疑問がわいてきますよね。それがあるんですよ!!
その辺から汲んできた水が、純粋なH2Oであることはあり得ません。必ず何かしらの成分を含んでいます。
その成分のうち、カルシウムやマグネシウムなどのミネラルの分量を表したものが“硬度”です。
「軟水」とか「硬水」という言葉をよく聞きますよね。あれは、硬度の高さを表したものなんです!
ビールの醸造に使う水は、たとえ飲める水であっても、水の硬度を調整します。
その工程を「水を磨く」と言い、磨いた水を「醸造用水」と呼びます。
ビールの醸造における水の硬度
ビールの醸造では、ドイツ硬度という尺度が使われています。
ドイツ硬度とは:水100㎖中にCaO(酸化カルシウム)を1㎎含むとき、その水を1°dH(デーハー)と呼ぶ
硬度が低い軟水は、さらっとした口当たりなので、淡色ラガービールに適しています。
逆に硬度が高い硬水は、どっしりした味わいになるので、濃色エールに向いています。
ざっっくり分けると、こんな感じです!!
°dH | 水質 | 名産地 |
---|---|---|
8以下 | 軟水 | ピルゼンなど |
8~12 | 普通 | |
12~30 | 硬水 | ミュンヘンなど |
30以上 | 非常に硬水 | バートン・オン・トレントなど |
次に、軟水と硬水の特徴的な銘柄をご紹介します!
軟水の銘ビール
ピルスナー・ウルケル

元祖ピルスナー!!
ヨーゼフ・グロルの功績は、「たまたまピルゼンが軟水だったから」という風にされなかった事というのは、過去の記事でご紹介しました。
そのピルスナーを、同じレシピで今に伝えるのがこのピルスナー・ウルケルです!!
近隣国のオーストリア・ウィーンやドイツ・ミュンヘンは硬水なので、チェコ・ピルゼンの軟水は貴重だったろうと思います。
輸出用の瓶・缶ビールは熱処理されているそうですが、現地の樽生は生ビールなんだそう!
樽生は段違いにうまいと有名ですので、是非一度は現地で飲んでみたいですね!!
ヴァルシュタイナー

通称「ラガーの女王」!!
“水柱”である冨岡義勇さんのイメージビールとしても登場しましたね。
醸造所の近くにあるアルンスベルグの森の、カイザークヴェレという水源を使っているそうです。
その硬度は1〜2度と、非常に軟水です!
さらさらっと飲めるヴァルシュタイナーは口当たりもよく、日本人にも馴染みやすい味わいです。
まさにラガーの女王と呼ぶのに相応しいですね!
硬水の銘ビール
バス・ペールエール

赤い三角形がトレードマークの、バス・ペールエールです!!
水を磨いて硬度を上げることを“バートナイズ”と言いますが、その語源となったイギリスのバートン・オン・トレントという街を代表するビールです!
上記の表でご紹介の通り、非常に硬水ですね。
ホップの華やかな香りがしっかり抽出されたような香りと、フルーティなエステル香、ドライな飲み口が特徴的です。
しかしこのバス・ペールエール、アサヒが取り扱いをやめてから、めっきり見かける機会が減りましたよねー。非常に残念です。。
イギリス出身の方が「故郷の味!日本でも飲みたい〜」と言っていた“ボディントン・パブエール”も、硬水で有名なビールですが、どちらも日本では入手困難です。
近い味わいだと“フラーズ・ロンドンプライド”もおすすめですね。コクがあるのに後味がすっきりなのは、硬水だからこそ成せる技だなと思わされます!
ヱビス

硬水の地ウィーンで作られ、同じく硬水の地ドルトムントに伝えられた“麦たっぷりだけど苦味もしっかり”なビール、それがドルトムンター(エクスポートともいう)です!!
そのスタイルで作られている最も有名なビールと言えば、そう!ヱビスビールですよね!!
「スーパードライや一番搾りは飲めるのに、ヱビスは苦くて無理。。」という声を時たま耳にしますが、恐らく硬水ゆえにホップ成分がしっかり抽出されるからでは?と思っております。
ヱビスの苦味をおいしく感じられるようになったら、ひとつ大人の階段を登ったと言えるかもしれませんね!
硬度以外の尺度
pH
液体において非常に重要な要素、“酸性かアルカリ性か”も、醸造用水にとってももちろん大切です!!
ビールの醸造には、弱酸性の水が必要です。でないとデンプンを糖にしたり、タンパク質を分解したりする酵素が働かないからです。
ただ、麦汁を作るときに麦芽からリン酸塩などの塩化物が放出されるので、中性の水で作り始めたらちょうどいいpHになることが多いです!
その他の影響
ミネラルが含有されると味わいが変わるのはご紹介の通りですが、さまざまなな科学反応が起きて、いろいろな変化もあります。
ざっくり紹介すると...
・カルシウム……ビールの透明度に影響
・マグネシウム、亜鉛、銅……酵母の活動に影響
・ナトリウム……味の深みに影響
・硫酸塩……ホップの苦味に影響
こんな感じでしょうか。
さまざまな変化を見越して、色合いや口当たりや風味を計算した上で作られたビール。
まさにひとつずつが芸術作品だし、ブルワーの皆さんを“職人”として讃えたいです!!
麦とホップだけでなく、水も意識して飲んでみて!
ホップや麦に続き、水の違いによるビールの変化についてお話ししました!!
ちょっと専門的な内容になってしまいましたね。。水の重要性が伝わりましたでしょうか?
これからはぜひ、麦芽やホップだけでなく「このビールは硬水かな?軟水かな?」ということにも注目して、ビールをお楽しみください!
きっとビールの魅力がさらに広く深く見えてくることと思います!!