なんとなんと……!!
ブログを書き始めて1年になりました!



とコメントをくださる皆さまのお陰です。。
本当にありがとうございます!
さてさて、先日公開しましたオクトーバーフェストの記事はご覧いただけましたでしょうか??
これらの記事の前段階として、オクトーバーフェストでよく見られるスタイル、メルツェンとボックについてもご紹介しました。
しかしよく考えたら、オクトーバーフェストで一番目にするであろうスタイルについて触れるのを忘れていました……!!
私としたことがうっかりしていました。。
今回は、ドイツビールでめちゃくちゃよく見かける「ドゥンケル」について解説します!
ちょっと長くなりますが、ラガービールが生まれた背景から見ていきますね。
無菌室がない時代の試行錯誤
ビール作りはいつだって腐敗との戦いでした。
中学校の理科で「発酵と腐敗の違いは、人間にとって役に立つかどうかの差」と習いましたが、本当にその通りです!
酵母が働きやすいということは、他の雑菌にとっても天国ということですからね。
だから麦汁を煮沸したり、殺菌作用のあるホップを入れたりして工夫してきたんです。
温度を下げるのもそのひとつです。
当時主流だったエール酵母が活動できるギリギリのラインが13℃だったので、できるだけ常温以下にして“酵母は働けるけど他の雑菌は活動できない”温度を狙っていました。

しかし15世紀のバイエルンで、世紀の発見がなされました!
凍りそうな低温でも発酵が止まらない酵母が見つかったのです!!
この酵母を添加した麦汁を、天然の氷と一緒にアルプスの洞窟に秋の終わりから春まで貯蔵するという方法が考え出されました。
ドイツ語の「lagern(格納する)」から、この酵母はラガー酵母、こうして生まれたビールをラガービールと呼ぶようになりました。
エールビールとラガービールの特徴は、こちらの記事にも詳細がありますので参考にしてください!
ミュンヘン独自の琥珀色ビールが「ドゥンケル」
15世紀ごろに生まれたラガービール。同じころに創業されたミュンヘンのシュパーテンは、ラガーの製法を常に研究していました。
1820年代、シュパーテンの跡継ぎであるガブリエル・ゼードルマイヤー二世は、各地へビール造り修行の旅に出ます。
その結果、ベルギーとイギリスからは麦芽の焙燥法を、プロイセン(現ポーランド及びリトアニア)からは糖化法を習得しました。
*糖化とは麦の炭水化物を糖に変えること。
そして、ミュンヘン独自の琥珀色のラガービールが生まれました。
これが「ミュンヒナー・ドゥンケル」です!
ピルスナーの記事でご紹介した「ミュンヒナー・ヘレス」が淡い色合いなのに対し、ドゥンケルは濃い色合いなのが特徴です。
ドゥンケル(Dunkel)=ダーク(Dark )「濃い」「暗い」という意味
これが真っ黒になるとシュバルツなわけです。
ドゥンケルは、ヘレスやピルスナーよりはコクがあるけれど、シュバルツほど濃くない、バランスの取れた飲みやすいスタイルというわけです!
ドゥンケルの特徴!
麦芽のコクは感じるけれど重くない。
さわやかなホップの苦味はあるけれど、苦味も香りもしつこくない。
ラガーなのでフルーティな香りやイーストの香りもなく、マイルドで飲みやすい。
毎日でも飲みたい、ドリンカビリティの高いビールです!
広い意味でのドゥンケル
19世紀にシュパーテン醸造所で生まれた濃色ラガービールは、「ミュンヒナー・ドゥンケル」と呼ばれています。
これが狭い意味のドゥンケルです。
しかし今や、単に「ドゥンケル」という場合は、暗い色あいのドイツビール全体をさす言葉として使われています!
例えば……
ヴァイスドゥンケル
小麦主体、ヴァイツェン酵母を使ったヴァイツェンのうち、色が茶色いもの。
詳しくはヴァイツェンの種類を紹介する記事で詳しく書いているので、そちらをご覧ください!
ドゥンケルボック
麦汁の比率が高いボックの中で、色の濃いもの。
ボックはそもそも色が暗いことが多いので、「ヴァイスドゥンケル ドッペルボック」のように、“本来は白い色になりそうなビールだけど、茶色いですよ〜”という意味で付け加えられることが多いです。
ボックについても別記事で詳しく書いているので、そちらも参考にしてみてくださいね!
アメリカでは“暗い色合いのビールにはとりあえず「アンバー」って付けとけ”というのと似てますね。
ドゥンケルの代表銘柄
ホフブロイ ドゥンケル

シュパーテンと同じく、ミュンヘン6大醸造所のホフブロイが作る正真正銘の「ミュンヒナー・ドゥンケル」です!
トーストしたパンのような香りや、ほのかなチョコレートの風味など、ミュンヒナー・ドゥンケルの特徴をよく表しています。
ドイツビール好きにはぜひ一度は飲んでいただきたいビールです!
リーゲレ ドゥンケル

バイエルン地方のアウクスブルクにある、リーゲレ醸造所のドゥンケルです!
実は、私が昔勤めていたドイツビール専門店で常設されていたドゥンケルがリーゲレだったので、馴染みがあるんですよ。そして入手しやすい!
特筆すべきは「クセのなさ」。
めちゃくちゃおいしいのに全然クセがないので、するっする飲めちゃうんです!
どんなお料理にも合わせやすいですしね。500㎖の瓶ですが、気づいたらなくなってる危険なビールです!
ドゥンケルは冷蔵庫に1本入れておけば心が穏やかになる!
このブログのどこかで「強いて言えば、好きなスタイルはランビックとラオホ」と言いました。
でも、これはたまに飲むからおいしい!個性的すぎて、毎日浴びるほど飲むもんじゃないです!!
じゃあ毎日飲めるものはというと、このドゥンケルなんですよね!
実際、いっときはピルスナーより飲んでました。
重すぎないので「ラスト一杯、ドゥンケルならいけるな」ってなっちゃうんですよね〜。
IPAやサワーが流行していますが、クセのあるスタイルは飲み疲れするときがきてしまいます。
そんなときは、このドゥンケルやメルツェンで落ち着くのがいいですね!
ドゥンケルは常に1本は冷蔵庫に冷やしておくことをおすすめします!!